最近、働き方改革、生産性向上、テレワークなどといったキーワードが世間をにぎわせています。今回はそのようなときに課題にもなりやすい、パソコンの話です。
パソコンはコモディティ化しており、できるだけコストをかけたくないのが通常だと思います。ただしそうは言っても、あまりに粗末な端末では、仕事の効率が上がるどころか下がるリスクもあります。
わたしはパソコンに関しては、8万円程度の端末を、数年おきに買い替えながら使うのが現時点では最善と考えています。(お金がある会社であれば、もっとよい選択肢もありますが)
その理由はこうです。まずパソコンには、消耗品と考えるべき性質があります。たとえば、長く使うほど、特にハードディスクが壊れやすくなります。容易に想像できることですが、壊れるともっとも困るのが、このハードディスクです。わたしにも経験がありますが、故障は突然起こります。いきなりデータが読み出せなくなり、正しくバックアップを取っていたとしても、完全に作業環境を元通りにするのに結局は何日も費やし、その間仕事の効率は著しく下がります。
壊れるまで使うことは、パソコンに関しては美徳でも何でもありません。移行するなら壊れた時ではなく、新旧端末を一定期間並行利用できるのが理想です。
また、長く使うことで、パソコンは必ずと言っていいほど動作が重くなっていきます。反応が遅い、操作コマンドが終わらない、立ち上げが遅い、などの症状です。どれだけ高価な端末であっても同様です。これにはさまざまな技術的理由がありますが、その理由が分かったところで、動作が重くなることは避けがたいものがあります。つまり、長く使うほどに、パソコンでの作業効率は落ちるわけです。そうなると、何のために仕事にパソコンを利用しているのか、意味が薄れていきます。
それに加えて、いまだにパソコンも進化は続けています。通常の業務利用であれば使い勝手に変化はあまり感じないかもしれませんが、コストパフォーマンスは今でも向上しています。同じ価格で比較すれば、最新の端末のほうが確実に性能や快適性が上です。最新の端末を使っている企業と、長年端末を変えずにいる企業と、執務環境の良さは比べるまでもありません。些細なことに思えるかもしれませんが、少しの差が何百人、何千時間と積み重なると、相当な差になって現れるものです。我慢して使い続けるものではありません。
長く使うことを前提にして上記の問題を回避する対策は、いくつか考えられるでしょう。しかしながら、パソコンがコモディティ化している以上、パソコンの調達、利用、乗換にできるだけ面倒はかけないというのが、重要ではないでしょうか。その意味で、安く調達し、変な細工をせずそのまま使い、さっさと乗り換える、という運用をしたほうがベターではないかと思うのです。
8万円程度のパソコンでは安かろう悪かろうではないのではないか、と心配する向きがあるかもしれません。もちろん、その程度の価格では最高のスペックではなく、中程度以下です。重いソフトを動かす、多くのソフトをインストールする、等の場合は性能の問題が出る可能性があります。しかし、オフィスソフトとウイルス対策ソフトとブラウザーを導入して、よくある事務作業をする程度であれば、現在売られている新品の端末ならまったく支障はありません。さっさと乗り換えることを優先するなら多少は性能に目をつぶろう、ということです。
少しだけ財務的な話をするなら、10万円未満のパソコンなら消耗品として調達ができ、資産にする必要がありません。固定資産扱いせずに済むのは、台数が多い企業ほどプラスなのではないでしょうか。
パソコンに関しては、中には敢えて端末をすべて共用にして一人1台配布しない企業もありますし、原則としてWindowsを採用しない企業もあります。どのように使うのが環境上および業務上でベストなのかは企業によって異なり、単に他社事例をそのまま参考にするのは危険です。端末導入には調整できる選択肢が相当にあり難しいところはありますが、自社にとってベストで持続可能な業務環境を探ってほしいところです。