新年を迎え、明るい可能性の話を少しできないかと考えました。
昨年中もまた、さまざまなIT関連のキーワードが飛び交いました。AI、IoT、ブロックチェーン、VR、MA、等々。一般には難解に感じられるのでここでは挙げませんが、IT業界内ではさらにいろいろなキーワードが聞かれました。
こうしたキーワードは、「バズワード」と揶揄されることも多くあります。実際、一時話題になりながら、知らぬ間に誰も取り上げなくなったものも少なくありません。それだけにビジネスの場面においては、こんな人が多いのではないでしょうか。つまり、はやり言葉に踊らされまいと少し慎重に構えてホンモノなのかどうか観察し、周囲が使い始めてうまく行った話をよく耳にするようになってから動き出す、というような。
今のところはそれでよいかもしれませんが、もうそろそろ、その方法では先行者を後からとらえるのはかなり難しくなるかもしれません。自動車業界などは典型的でしょう。ITの塊ともいえる自動運転技術や、コネクティッドカーという言葉に代表されるネットワーク通信機能など、そのノウハウがない企業はいつの間にか取り残されるような状況になり、気づけばIT企業など異業種・新種のプレイヤーが業界に当たり前に存在する事態にもなっています。
周囲に成功者が現れる頃に、その成功者たちが業界にもたらすインパクトがこれまでよりも小さくなることは、少なくともないでしょう。それほどに、ITによってできるようになることのインパクトと、その活用ノウハウの蓄積は、マインドシフトを余儀なくされるほどに大きな影響を与えるものになっていると思います。
マインドシフトが発生するタイミングにうまく乗っていく、または自らそれを起こす側に立つようにするには、技術の目利きが必要になります。これには見方のちょっとしたコツがあると思います。わたしが持つものの中から、専門家でなくても使えるものをひとつ、ここで紹介しましょう。
ITの分野においてよく見られることなのですが、ある技術がITのフィールドで目立ってくるとき、起ち上がりから文句のつけようがなくいきなり普及したものは、少なくともわたしの記憶にはこれまでありません。インターネットでさえもそうです。わたしが大学で電子メールを使えていたころ、日本の企業で仕事に電子メールを使っているところは皆無でした。「ブラウザー」もそのころすでにありましたが、ほぼ誰も知りませんでした。おおよそ勃興してきたばかりの技術には、利用において多くの欠点があるのです。
この欠点を、多くの技術者が寄ってたかって解決しようとしているか、そして実際に解決していっているか。もしこの答えにイエスと言えるような技術であれば、多くはその後使われるようになっていきます。
一方で、コンセプトは有効なのだけれど欠点がなかなか解消されて行かない、使われるうえで決定的に問題のある部分がずっと残ったままになっている、などの場合、多くはそのあと勢いもしぼんでいきます。
それぞれの技術についてこうした動向を見ていると、自社に価値や影響をもたらすかどうかはわりと見通しやすくなると思います。ぜひ新年の始めから、そうした視点で世の中のキーワードを見極め、自社に取り込むべきものを関心をもって探る方策を確立していただきたいですし、そういう役割分担に技術の分かる人を置いていただきたいと思います。