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“user-driven”の背景(2) -- IT活用がうまくいかない問題の核

IT活用がうまくいかない問題の核を知る前に、まず知っておきたい「IT対応の大前提」があります。それが、以下の4点です。

【企業におけるIT対応の大前提】
企業の独自処理への対応
ITを企業に活かす場合、どこかの企業が使っているITをそのまま流用してもうまくいかないことを認識しなければなりません。なぜなら、どの企業のどの業務にも必ず「独自処理」が存在するからです。標準処理の塊と思われる給与管理でさえ、例えば退職金の処理は各企業で独自になっています。
ビジネスも企業も多種多様
同じ業種業態であっても、ビジネスモデルは必ず異なります。企業のマネジメントもまた、まったく同じ管理手法を取る企業は存在しません。「違い」があるからこそ業績に差が出るのですから当然のことです。経営に資するITであれば、その「違い」を反映するものでなくてはなりません。そしてその「違い」を知るのは、システムを利用する側であるユーザ企業のみです。
ITの自由度は高い
オープン系と呼ばれるシステム形態が主流となりつつある中、ITの自由度はさらに高まりました。選択肢の組み合わせが自由自在であるがために、逆にうまく組み合わせないと「整合がとれない」「管理しづらい」という事態が発生します。
システムは融通が利かない
ITシステムは、言われたことしかできません。人間ならば状況判断で例外処理もこなせますが、ITシステムは融通が利きません。人間なら1を言って10を理解することもできますが、ITシステムは1から10まで一つずつ教えなければならないのです。

こうした特性を知れば、この問題の核が見えてきます。

 【IT活用がうまくいかない問題の核】
実現したいことが曖昧
自由度の高いITシステムを、「意思疎通」の難しさを認識しないまま検討しようとすると、実現したいことはどうしても曖昧になります。 実は担当者でさえも、システムで実現すべき組織の「際立ち」の部分が正確に分かっていないかもしれません。曖昧なままでは、見積もりの不備、仕様の行き違い、過大コストのリスクが消えません。
本当のニーズがまとまっていない
そのITシステムは本当に業務に役立つのか、経営方針の何に資するのか、関係者の誰にもわかっていないことが意外にあります。IT戦略や業務改革方針が明確でない場合はこうなることが多々あります。結果、役に立たないシステムが出来上がります。
ベンダ依存しすぎて参加度が低い
ユーザ企業側に積極性が少ない場合、ベンダへの依存度が高まります。ユーザ側にシステム構築経験が少ないことは理由になりません。意思疎通の不足による行き違いが発生するリスクが高まります。何事もなく切り抜けた場合は何も問題ないように思えますが、知らぬ間にそのベンダに囲い込まれ、システム全般に関してベンダの意向に従わざるを得ない「ベンダロックイン」に陥ります。
利害関係者が多数存在し、混乱
ITシステム構築に関与する関係者が増えれば増えるほど、意思疎通の難易度が上昇します。1から10まで明確に決めなければならないITシステムにおいて、認識のずれ、価値観の不一致が増加します。適切な管理をしなければ、火消しすべき問題を放置することにもなりかねません。
要求の実現性が低い
要求していることの技術的難易度がどのくらい高いのか、認識していないとコストや納期の妥当性が判断できません。その認識もなくベンダを買いたたいたり短納期を要求したりすれば、腕のいいベンダには引き受けてもらえないかもしれません。
投資評価をしない
ITシステムが真に経営に貢献しているかどうかは、投資評価しなければわかりません。しかし意外にも、システム構築後の事後評価をしない企業は多数存在します。結果、過大投資が行われていても気づかず、対応策も取れません。
ICTリテラシーが高くない
組織全体としてICTの実践レベルを向上させないことによって、ICT活用の発想がなかなか組織に根付きません。ICTで何ができるのかわからないままでは、効果的な活用も使いやすいシステム発想も困難です。自社でITシステムの開発が可能な企業においても、一部担当者の属人性を排除しつつ技術スキルの向上に常時努めない限り、いつの間にか陳腐化しているリスクもあります。

ここまで、「IT活用がうまくいかない問題の核」を明らかにしました。これを踏まえて、「IT導入を成功に導く要因」を考えてみましょう 。



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