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ICTで「攻める」時代の方法論 |
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| 当社代表・田代博幸が、ICTを活用した「攻め」の経営戦略に必要な思考法を、最先端事例や最新動向を踏まえて解き明かします。
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| 第44回 経営者は、IT部門に「よくやった」と言えるか |
今回は、経営とITとのよりよい関係について論じてみたいと思います。
立場という観点では、経営は計画し投資する側、ITは投資を資産に換えてビジネスへの貢献を実現する側、とでも言えるでしょうか。その意味で経営とITには、互いに高めあう双方向性があると思いますが、現実はうまくやり取りができていない関係にある企業が多いような気がしてなりません。そうした実態を脱して本来の関係性を築くための、当たり前すぎるヒントを提示したいと思います。
●経営によるITの「放し飼い」
当社では、「ビジネスへのIT貢献度 簡易診断」という、当社が開発した無料の診断ツールを経営者にご紹介することがあります。このツールは、企業のITが現時点でビジネスにどの程度貢献しているかを、ベーシックな指標のみを使って見える化し、貢献度を評価するものです。
こうした取り組みを通じてよく理解できるのは、どんな経営層の方も、ITは自社のビジネスに貢献してほしいと考えていることです。ただしその一方、お話をする中で、「どの程度ITが自社のビジネスに貢献しているか」を明快に説明してくださった方には、未だ直接お目にかかったことがありません。
それよりも、「彼ら(IT部門)の言っている通りにITを導入し続けて、本当に良いのか不安」という話を聞くほうが多いのが、残念ながら現状です。
もちろん、経営者も経営幹部も、ひと通りの説明はIT部門から受けます。しかし、幹部の側であまりITに詳しくない場合、ある程度筋が通った感のある説明をされれば、もっともらしく聞こえてしまうのが通常だと思います。その一方でIT投資はどんどん膨らんでいく、その投資に見合ったリターンがもたらされている実感も薄い、だから承認はするものの不安がある、という思いなのだろう、と私は推察しています。
無理もないことです。しかし、わからないからと言って何もせずに放置(いわゆる、放任)してしまうのは、経営にとって大きなリスクです。もちろん、IT部門はITの専門家なのですから、力を発揮してもらうには自由に活動させる必要はありますが、それにも程度があります。
例えば、よく牧畜では「放牧」が行われます(あくまで「例え」として捉えてください、ITパーソンを家畜と一緒にするつもりはありません)。これは家畜を牧草地に放すわけですが、放すと言っても牧草地には柵があり、決まった時間に家畜に決まった動作もさせます。これらがなければ、単なる「放し飼い」です。
牧畜家がそうするのは、「品質を保つ」という目的のためではないでしょうか。
●放任に甘えるIT部門
仮に経営者が放任してしまったとしても、IT責任者や担当者にすばらしい職業観があれば、問題は表面化しないでしょう。しかし、人間どこかに緩みや甘えは出るものです。それが定常化すると、問題は確実に出ます。簡単に言ってしまえば、「何も言われないことに対して甘える」のです。
その問題は大抵、業務部門とIT部門との間で「不満」となって現れます。規模が多少大きな企業であれば、本体の企画部門とIT子会社との間というケースもあるでしょう。その「不満」とは例えば、依頼しても対応が遅い、利用者の要望は平気で断ってくる、対応の交渉をするとごく軽微でも数カ月かかると言ってくる、対応する場合でも市場より高値を提示する、開発スケジュールは普通に破られる、受入試験で不備を見つけると「それが仕様だ」とゴリ押ししてくる、等々、挙げれば他にもたくさん見聞きしたものがあります。業務部門やIT企画がたまに外部に開発依頼をかけると、その「顧客」対応の質の違いに愕然とするそうです。
もちろん、IT部門側にも言い分はあり、同情すべきものもあります。しかし、ここで言う「甘えてしまっている」ケースの場合、調べると明らかにそれとわかります。およそ、甘えてしまっているIT部門には決まりごとがないか、あってもそれを守っていません。そしてそのような事態においても、経営層から「何も言われない」のです。
●評価基準のススメ
こうした問題の根源は、何といっても「評価しないこと」、および評価のモノサシを持たない体制にあると思います。実際、IT部門業務に対して、企画・開発・運用の成果を具体的な指標で評価している企業は、冒頭にも述べたとおり、あまりないと実感しています。
ですから、ぜひ経営者にはIT業務の「評価基準」をつくっていただきたい、と思っています。IT業務はただでさえ専門性が高く、周りがその働きの良し悪しをよく理解できない分、IT部門にも改善意識が働かない場合があります。そこで、こうした基準があると、業務成果がどのように周りから見られているのか、IT担当者はいやでもわかります。それが、改善行動を生むのです。
基準化するにあたってどうすればよいかですが、そんなに難しいことではありません。経営やビジネスにとって、ITがどのような働きや活動をしてくれればありがたいのか。この観点で指標を考案すると、よいものが出てきます。
またこうした評価基準があると、結果的にIT部門の「品質」を見える化することにもつながります。それが、IT投資の妥当性やコストの無駄を発見するきっかけになることもあるのです。IT部門の立場から言っても、彼らの努力が指標となって表われ、努力を正当に周囲にアピールできる材料となるはずです。
何事も、測れれば対策が打てます。測れないものには対策を打てません。ぜひ、前向きに整備を進めていただきたいと思います。
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